私たち「クジラ映画制作チーム」にとっては、今年映画を完成して世に出せたことが何よりも大きな喜びでした。2010年から制作をスタートし、昨年クラウドファンディングで大勢のみなさまからご支援を頂いた映画は、英題「A Whale of A Tale」、 邦題「ふたつのクジラの物語」として10月に完成。韓国の釜山国際映画祭に正式招待され、世界プレミアを迎えることができました。
このふたつは、分断する今の世界を象徴する出来事でした。それは、グローバル vs ローカル、都市 vs 地方という価値観の対立でもあります。そして「ふたつのクジラの物語」は、まさにこの対立する価値観を描いたものです。イルカやクジラを殺さずに保護したいという考え、日本では「反捕鯨」とカテゴライズされる考えは、今のグローバルな価値観を反映しています。一方捕鯨を続けたいという思いは、長く続いた日本固有の伝統や産業を守って行きたいというローカルな価値観に基づいていています。映画では、どちらが正義か悪かを判断することなく、和歌山県太地町を舞台に、このふたつの対立する世界観を描きました。